読書記録『復活への底力』出口治明著

運命を受け入れ、前向きに生きる

やっぱりすごい人だった。
APU学長就任中脳卒中で倒れ、右半身麻痺と重度の失語症
もはや復職はおろか、日常生活もままならないと誰もが予想したが、出口さんは違った。

大分に戻って単身赴任をし、天空(APU別府)で学長に復職する。
そんな無茶とも言える目標を掲げ、リハビリに励んだ日々の記録。
リハビリに携わった医師、理学療法士作業療法士言語聴覚士を巻き込んで一つ一つ困難を乗り越えていく姿は涙が出そうだった。

自分の父も交通事故で脳挫傷となりそれまでの生活が一変した。入院期間は終わってしまい、あとは介護を受けて一生を終えるのかもしれないと覚悟しながらも、家族で支え、なんとか一人で散歩に行けるくらいまでは回復した。
それでも約2年の月日はかかったし、まったく平坦な道のりではなかった。
それを思い出すと、いろいろ重なる部分もあって胸が熱くなった。

いざというときになってから前向きに考えようとしても無理だろう。
『還暦からの底力』でも述べられていたように迷ったらやる、迷ったら行くことが平時から求められる。そして教養をつけておく。神話や歴史、哲学の中に困難を切り抜けるヒントを見つけられるかどうかで不測の事態に立ち向かえるか打倒されるかの運命を分ける。

類まれなる精神力という一言で片付けてはいけない。わたしたちにもできることはありそうだ。

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